【2025年市場総括】輸入車が独り勝ち、日経5万円と逆輸入車ブームの正体

2025年の自動車市場における最大のトピックは、輸入車の爆発的な売れ行きです。統計開始以来2番目となる高水準を記録しました。日本自動車輸入組合(JAIA)のデータに基づくと、2025年の輸入車新規登録台数は35万5,853台に達しました。これは前年比で110.9%という驚異的な伸び率です。

日経平均5万円突破が富裕層の財布を開いた

この「輸入車独り勝ち」の背景には、明確な経済的な裏付けがあります。2025年、日経平均株価がついに5万円の大台を突破しました。株価上昇によって資産を大きく増やした富裕層が、その利益を超高級車の購入に充てたのです。円安による車両価格の上昇という逆風がありながらも、それをものともしない購買力が市場を牽引しました。

「逆輸入車」という新たなトレンド

輸入車好調のもう一つの要因は、「逆輸入車」の急増です。逆輸入車とは、日本のメーカーが海外の工場で生産した車を、日本に輸入して販売する車のことです。

2025年は、スズキの「ジムニーノマド」や「フロンクス」、ホンダの「WR-V」といったモデルが街中に溢れました。これらの車は海外生産ですが、国内メーカーのブランドであるため、消費者は安心して購入できます。さらに、欧州メーカーが電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を積極的に日本市場へ投入したことも、数字を押し上げました。

期待外れに終わった国内新車販売

輸入車の活況とは対照的に、国内全体の新車販売は重苦しい空気に包まれました。日本自動車工業会(JAAI)の実績値と予測を合わせると、2025年の新車販売台数は455万308台です。前年比では102.9%と数字の上ではプラスですが、実態は「回復」とは程遠いものでした。

2024年は認証不正問題で市場が低迷していました。2025年はその反動で大きく伸びると期待されていましたが、実際には微増にとどまりました。

理由は明確です。物価高騰と車両価格の値上げです。さらに、半導体不足による納期の長期化が続き、消費者の「買いたい」という気持ちを削ぎ落としました。

モビリティショーの不発と新政権

2025年後半には「ジャパンモビリティショー2025」が開催されました。しかし、展示内容が「未来の技術」に偏りすぎており、足元の販売を押し上げる効果は限定的でした。むしろ、「もう少し待てばもっと良い車が出る」と買い控えを招く結果となりました。

10月末には高市新政権が誕生しました。しかし、政権発足直後のため、市場を即座に好転させる特効薬とはなりませんでした。

トランプ関税に翻弄された輸出戦略

海外市場に目を向けると、アメリカ市場での苦戦が際立ちました。2025年の新車輸出台数は421万3,798台で、前年比99.9%と横ばいです。

最大の要因は「トランプ関税」です。アメリカ政府による追加関税が、日本メーカーを直撃しました。メーカー各社は、関税分を現地の販売価格に転嫁すれば売れなくなると判断し、自社の利益を削ってコストを吸収しました。その結果、販売台数はなんとか維持できましたが、収益性は大きく悪化しました。これは、将来の復活を見据えて、あえて損をしてでもシェアを守る「守りの戦略」でした。

「二重苦」にあえいだ国内生産

生産現場も苦しい一年でした。2025年の自動車生産台数は842万9,150台、前年比102.4%でした。

工場は「需要不足」と「供給制約」という二つの壁に挟まれました。国内では車が売れず、海外では関税におびえる状況に加え、半導体や部品の供給がいまだに不安定だったためです。工場をフル稼働させたくてもできない、もどかしい状況が続きました。

2026年への展望と新政策

暗い話題が多い中で、希望の光もあります。高市新政権は、自動車産業の立て直しに向けて具体的な政策を打ち出しました。「暫定税率の廃止」、「環境性能割の免税」、「エコカー減税の延長」など、矢継ぎ早に手を打っています。

これらの政策効果が数字として表れるのは、2026年に入ってからです。2025年は、まさに「我慢の年」でした。しかし、この苦境の中で守り抜いたシェアと、新たに導入された税制優遇が噛み合えば、次こそは本格的な回復が見えてくるはずです。


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