2025年12月18日、日本の自動車ユーザーにとって極めて重要なニュースが飛び込んできました。自民党と国民民主党は、車を購入する際にかかる税金「環境性能割」の廃止で正式に合意しました。
これは単なる検討段階の話ではありません。政府・与党の方針として固まり、2026年(令和8年)4月1日からの実施が決定的となりました。
これまで新車を買うときに黙って支払わされていた数万円から十数万円の税金が、この日を境に「0円」になります。これから車を買う予定の方は、ハンコを押す前にこの中身を必ず確認してください。
そもそも「環境性能割」とは何か
「環境性能割」という言葉に馴染みがない方も多いかもしれません。昔でいう「自動車取得税」のことです。
車を買うとき、車両本体やオプションの価格に対して、燃費が良い車は安く、悪い車は高く課税される仕組みです。
税率は、登録車(普通車)で最大3%、軽自動車で最大2%です。
消費税10%とは別に取られるため、長年「税金の二重取りだ」と批判されてきました。今回、国民民主党が強く廃止を求め、自民党がこれを受け入れた形です。
誰がどれくらい得をするのか
具体的にいくら安くなるのか。もっとも分かりやすいのは、実際の車種での計算です。多くの人が購入する人気車種でシミュレーションしました。
トヨタ・アルファードの場合
ガソリン車の「Z」グレード(2WD)などを買う場合、これまでは燃費基準の達成度が低いため、車両価格の約3%が課税されていました。
- 車両価格など: 約500万円
- これまでの税金: 約13万~15万円
- 2026年4月以降: 0円
なんと約15万円も支払額が減ります。高級スタッドレスタイヤのセットが買える金額です。
ホンダ・N-BOXの場合
軽自動車も無関係ではありません。特にターボエンジンを搭載した「カスタム」などのモデルは、これまでも課税対象になるケースがありました。
- モデル: N-BOX CUSTOM ターボなど
- これまでの税金: 約1万5000円~1万8000円
- 2026年4月以降: 0円
軽自動車でこの金額は無視できません。ガソリン満タン3回分以上が浮く計算です。
輸入車・スポーツカーの場合
燃費基準の達成が難しい輸入車やスポーツカーは、ほぼ例外なく最高税率の3%がかかっていました。1000万円の車なら30万円です。これが0円になります。高額な車ほど、今回の恩恵は巨大です。
電気自動車(EV)の場合
EVはもともと非課税(0円)です。そのため、今回の変更による安くなる恩恵はありません。
いつの契約から安くなるのか
ここが一番の注意点です。「契約日」ではなく、「登録日(ナンバープレートが付く日)」が基準になります。
- 2026年3月31日までに登録: 税金がかかります。
- 2026年4月1日以降に登録: 税金は0円です。
ディーラーで「3月中に納車できます!」と言われても、喜んではいけません。数日の違いで、アルファードなら15万円をドブに捨てることになります。
商談の際は「登録は必ず4月以降にしてください」と念を押すことが不可欠です。
なぜ急に決まったのか
背景には政治的な駆け引きがあります。
先の選挙で議席を伸ばした国民民主党は、「年収の壁(103万円の壁)」の見直しとともに、ガソリン税を下げる「トリガー条項の凍結解除」を訴えていました。
しかし、ガソリン税を下げると地方の税収が激減するうえ、ガソリンスタンドの現場が混乱するという理由で、政府・自民党は難色を示しました。
そこで、ガソリン税の話を一旦棚上げする代わりに、「車を買うときの税金をなくす」という条件で手打ちにしたのです。これが今回の合意の正体です。
「廃止」ではなく「2年間の停止」
ニュースでは「廃止」という言葉が踊っていますが、行政の実務上は「2年間の停止」という扱いになります。
- 期間: 2026年4月1日 ~ 2028年3月31日
まずは2年間やってみて、その後のことはまた2年かけて議論する、というのが政府の方針です1。
つまり、うっかりしていると2028年にまた税金が復活する可能性があります。確実に安いのは、この2年間だけです。
2028年に待ち受ける「EV増税」
安くなる話ばかりではありません。今回の合意文書には、少し怖い未来の話も書かれています。
「電気自動車(EV)への重量税の見直し」です。
現在は優遇されているEVですが、バッテリーが重く道路を傷めるという理由で、2028年5月頃から課税を強化する検討が始まります。
「ガソリン車は購入税ゼロ、EVは重量税アップ」という、これまでのエコカー優遇とは逆の流れが2028年から始まる可能性があります。
中古車も安くなる
見落としがちなのが中古車です。環境性能割は、新車だけでなく中古車にもかかります(取得価額が50万円を超える場合)。
年式の新しい中古車を買う場合も、2026年4月以降であれば税金はかかりません。
春に中古車を買う予定の方も、4月1日を待つのが賢明です。
今やるべきこと
今回の決定は、これから車を買う人にとっては間違いなく朗報です。
しかし、タイミングを間違えると損をします。ポイントを3つに整理します。
- 急ぎでなければ4月を待つ
3月までの納車は「税金の支払い」を意味します。ディーラーの決算セールよりも、税金ゼロのほうが実利が大きいケースがほとんどです。 - 契約書に「4月登録」と書く
口約束はトラブルの元です。「4月1日以降に登録を行うこと」という条件を注文書に明記してもらいましょう。 - 高額車ほど慎重に
車両価格が高い車ほど、税額も大きくなります。納期の長い車(ランドクルーザーなど)を注文している人は、自分の車がいつ工場を出るのか、担当者に確認を入れてください。
2026年の春、日本の車の買い方が大きく変わります。この情報を知っているかどうかで、支払総額に大きな差がつきます。賢いタイミングで、新しいカーライフを始めてください。
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