埼玉県川口市では、誰もが安全で安心して暮らせるまちを目指し、交通安全の呼びかけが日々行われています。特に近年、全国的に高齢者が関わる交通事故が社会的な課題となっており、私たちの川口市も例外ではありません。
長年培ってきた運転経験や、いつも通る慣れた道であっても、思わぬ事故の加害者にも、被害者にもなってしまう可能性があります。今回は、警察からの情報をもとに、シニア世代の皆様に特に気をつけていただきたい交通安全のポイントと、いざという時に役立つ知恵をご紹介します。

【運転する皆様へ】ご自身の「今」の状態、把握できていますか?
長年の運転経験は大きな財産ですが、年齢とともに身体の機能は少しずつ変化していきます。ご自身の「今」の状態を客観的に把握し、運転に活かすことが、事故を防ぐ第一歩です。
- 身体能力の変化と運転
「自分はまだ大丈夫」と思っていても、視力や聴力、そしてとっさの判断力や反射神経は、若い頃とは変化しているのが自然なことです。例えば、「信号の色が少し見えにくくなった」「カーブの先から来る対向車に気づくのが遅れた」と感じたことはありませんか? こうした小さな変化が、重大な事故につながることがあります。運転する際は、以前にも増して速度を控えめにし、車間距離を十分にとる「防衛運転」を心がけましょう。
- 「運転免許証の自主返納」という選択肢
もし、ご自身の運転に少しでも不安を感じたり、ご家族から心配の声が聞かれたりするようになったら、「運転免許証の自主返納」を考えてみるのも一つの大切な選択です。これは運転からの「引退」ではなく、これからの人生をより安全に、安心して過ごすための賢明な「卒業」と言えます。
川口市では、埼玉県警と連携し、運転免許を自主返納した方を支援する「シルバー・サポーター制度」を推進しています。返納後に交付される「運転経歴証明書」を提示することで、バスの運賃割引など、様々な特典を受けることができます。車がなくても安心して生活できるサポートがありますので、詳しくは市の窓口や警察署にご相談ください。

【外出する皆様へ】歩行中・自転車利用中の事故を防ぐ
高齢者の交通事故は、運転中に限らず、歩行中や自転車の利用中に被害に遭うケースも非常に多くなっています。
- 夕暮れ時と夜間の外出には「光るお守り」を
夕暮れ時や夜間は、車のドライバーから歩行者や自転車が見えにくくなり、事故が多発する時間帯です。そこで絶大な効果を発揮するのが「反射材」です。
車のライトに照らされると、ドライバーからはまるで光っているかのように見え、なんと57メートル以上手前から存在を確認できると言われています。これは、反射材を身につけていない場合に比べて、発見までの距離が倍以上も変わるということです。
洋服や靴、杖、カバン、自転車など、目立つ場所にキーホルダー型やシール型の反射材を身につけましょう。それは、ご自身の命を守る「光るお守り」になります。
- 自転車のヘルメットで、万が一の転倒に備える
自転車は手軽な移動手段ですが、転倒した際に頭を強く打つと、命に関わる事態になりかねません。特に高齢者は、少しの段差でもバランスを崩しやすくなります。
現在、自転車利用時のヘルメット着用は努力義務となっていますが、ご自身の頭部を守るために、ぜひ着用を習慣にしてください。また、「止まれ」の標識がある場所では必ず一時停止し、左右をしっかり確認してから進むことを徹底しましょう。
交通事故は、誰にとっても他人事ではありません。ご自身の、そして大切なご家族の未来を守るために、今日からできる交通安全を実践していきましょう。
