ついに決まりました。50年以上も続いたガソリン税の「暫定税率」が、2025年の年末になくなります。2025年10月31日、自民党や立憲民主党など、与野党6党が廃止に合意しました。これにより、私たちの生活に直結するガソリン価格が下がります。いつから、どのくらい安くなるのか、具体的な数字で分かりやすく解説します。
年末を待たずに、12月には安くなる
「年末に廃止なら、安くなるのは来年から?」と思うかもしれませんが、実は違います。政府は、価格が急に変わるのを避けるため、段階的に値段を下げていきます。
そのカギとなるのが、今も続いているガソリン補助金です。この補助金を、廃止される税金の額まで増やしていくのです。
- 11月13日から: 補助金が段階的に増え始めます。
- 12月11日には: 補助金が暫定税率と同じ1リットルあたり25.1円に達します。
つまり、法律上の税金がなくなるのは12月31日ですが、実質的な値下げは12月11日には完了していることになります。これにより、年末の慌ただしい時期を待たずに、値下げの恩恵を受けられます。
値下げは25円ではなく、約15円
注意が必要なのは、値下げ幅です。暫定税率は1リットルあたり25.1円ですが、ガソリン価格がそのまま25.1円安くなるわけではありません。
理由は、暫定税率がなくなるのと同時に、現在支給されている1リットルあたり10円のガソリン補助金も終了するためです。
計算はこうです。
25.1円(なくなる暫定税率) – 10円(なくなる補助金) = 15.1円
したがって、実際の値下げ幅は1リットルあたり約15.1円からスタートすると考えてください。それでも、家計にとっては大きな助けになります。ある試算では、自動車を持つ平均的な家庭で、年間のガソリン代が7,000円から約1万円節約できるとされています。
そもそも「暫定税率」って何?
この暫定税率とは、もともと1974年に道路を整備するため、「一時的な」約束で始まった上乗せの税金でした。しかし、その後何度も延長され、50年以上も私たちの負担になってきました。
ガソリン価格の約4割は税金だと言われています。ガソリンの本体価格やガソリン税にまで消費税がかかる「二重課税」問題も、長年指摘されてきました。今回の廃止は、この長年の課題にようやく終止符を打つものです。
| 項目 | 廃止前の税金(1Lあたり) |
| 本則税率 | 28.7円 |
| 暫定税率 | 25.1円 |
| 石油石炭税 | 2.8円 |
| 合計(消費税抜き) | 56.6円 |
軽油や今後の課題
トラックなどが使う軽油(ディーゼル)の暫定税率(1リットルあたり17.1円)も廃止されます。ただし、こちらは地方の税金であるため、影響を考えてガソリンより少し遅い2026年4月1日に廃止となります。
もちろん、良い話ばかりではありません。この減税によって、国と地方をあわせて年間で約1.5兆円もの税収がなくなります。この巨大な穴をどう埋めるのか、その議論はまだ先送りされたままです。今後、別の形で私たちの負担が増える可能性もゼロではありません。
とはいえ、まずは50年続いた重い負担がなくなることが決まりました。今後の政府の動きに注目しつつ、少しでも家計の助けになるこの決定を歓迎したいところです。





