師走の寒風を切り裂くような熱気が、今年も鳩ヶ谷の街を包み込みます。 2025年12月21日(日)、鳩ヶ谷総鎮守氷川神社にて、年末最大の祭典「おかめ市」が開催されます!
「おかめ市」とは、いわゆる「酉の市(とりのいち)」のこと。 商売繁盛、家内安全、そして来たる2026年の幸福を願い、数多の人々が境内に押し寄せる、鳩ヶ谷の冬になくてはならない風物詩です。 今年は日曜日開催。例年以上の混雑と、それを上回る興奮が約束されています。 「ただのお祭り」ではありません。ここは、人々の願いと熱情が交錯するパワースポットなのです。
この記事では、「おかめ市」の楽しみ方を解説します。 交通規制の落とし穴から、車で来場するための戦略まで紹介します。
熱気渦巻く230の露店
まず圧倒されるのが、その規模感です。 神社の境内から、通行止めになった旧道まで、延々と連なる露店の数はなんと約230店舗! これは県内屈指の規模です。
夕暮れ時、裸電球と提灯に明かりが灯ると、祭りのボルテージは最高潮に達します。 煌びやかな熊手が並ぶ一角では、威勢の良い掛け声とともに、「シャシャシャン、シャシャシャン、シャシャシャンシャン!」という三本締めの音が夜空に響き渡ります。 この音を聞くだけで、体の中から力が湧いてくるのを感じるはずです。
食べ物の屋台も多種多様。 香ばしいソースが焦げる匂い、甘いチョコバナナの誘惑、湯気を立てる温かい汁物。 冷たい風の中で食べるアツアツのたこ焼きは、また格別の味わいです。 ただ歩くだけで、五感がフルに刺激される、まさに「非日常」の空間がそこにあります。
1500円の福と幻のしゃもじ
この市に来たなら、絶対に手に入れなければならないものが2つあります。
一つ目は「カッコメ」です。 これは「福を掻き込む(かきこむ)」という意味が込められた、鳩ヶ谷氷川神社特有の熊手のお守りです。 初穂料は1,500円。 神社の社頭で授与されています。 大きな熊手を買う予定がない方も、まずはこのカッコメを授かり、神棚に祀って新しい年の福を呼び込みましょう。
二つ目は、知る人ぞ知る激レアアイテム「小しゃもじ」です。 「飯取る(めしとる)」=「敵を召し捕る」「飯を食うに困らない」に通じるとされ、勝負運や家内安全のご利益があると言われています。 頒布開始は17:00(午後5時)から。 毎年、この小しゃもじを求めて長い行列ができます。 数量限定のため、確実に手に入れたいなら、配布時間の30分前には様子を見ておくのが賢明です。 手に入れた時の達成感は、何物にも代えがたいものがありますよ。
不況を吹き飛ばした男の物語
なぜ、鳩ヶ谷でこれほど盛大なお祭りが始まったのでしょうか。 その背景には、一人の男の熱い想いがありました。
時は明治時代の終わり頃。 日露戦争後の深刻な不景気で、江戸時代から続いていた定期市「三・八市」もすっかり寂れ、街からは活気が失われていました。 「このままでは鳩ヶ谷がダメになってしまう!」 そんな危機感を抱いたのが、地元の香具師(露天商)の元締め、長井弥五郎(ながい やごろう)でした。
「人が集まる場所を作らねばならない。商売繁盛の熊手を売る酉の市を開こう!」 長井弥五郎はそう決意し、奔走します。 しかし、道のりは平坦ではありませんでした。 明治43年の第1回開催予定は台風で中止。続く明治44年も明治天皇の崩御などで延期を余儀なくされました。 それでも彼は諦めませんでした。 そして大正2年12月5日、ついに念願の第1回おかめ市が開催されたのです。
私たちが楽しんでいるこの賑わいは、100年以上前の先人たちが「街を元気にしたい」と願った、不屈の魂の結晶なのです。
11時から車両通行止め
当日、会場周辺は厳重な交通規制が敷かれます。 知らずに車で近づくと、身動きが取れなくなります。 この数字と場所は、必ず頭に入れておいてください。
<車両通行止め区間> 場所:鳩ヶ谷本町1丁目「セブンイレブン」前から、「昭和橋交差点」まで 規制時間:午前11時00分 ~ 午後10時00分
この区間は、バスも通れません。完全に遮断されます。 国際興業バスも迂回ルートを走りますので、バス利用の方も要注意です。
<歩行者天国> 時間:午後1時00分 ~ 午後8時00分 この時間が、お祭りのコアタイムです。
車で攻める「駐車戦略」
公式アナウンスでは「駐車場はありません。公共交通機関をご利用ください」とされています。 それが正論です。 しかし、「足が悪い家族がいる」「買い込んだ熊手を持って電車には乗れない」など、どうしても車でなければならない事情がある方もいるでしょう。
そんな「車派」の皆様のために、あくまで自己責任でお願いしたいのですが、「駐車戦略」を考えてみましょう。 会場隣接の駐車場を探すのは、厳しいことがわかっています。 「急がば回れ」で発想してみましょう。
戦略①:南鳩ヶ谷・新井宿「パーク&ライド」作戦(推奨) これが最も現実的で賢い方法です。 会場のある「鳩ヶ谷駅」の隣駅、「南鳩ヶ谷駅」または「新井宿駅」周辺のコインパーキングを目指してください。
- 南鳩ヶ谷駅周辺: 中規模のコインパーキングが点在しています。24時間最大料金も500円~600円程度の場所が多く、比較的財布に優しいエリアです。
- 新井宿駅周辺: 駅から少し離れると、穴場的な駐車場があります。
ここに車を停め、埼玉高速鉄道(SR)で1駅だけ電車に乗るのです。 所要時間はわずか数分。 渋滞に巻き込まれるストレスもなく、確実に会場にたどり着けます。
戦略②:早朝アタック どうしても鳩ヶ谷駅周辺に停めたいなら、午前中の早い時間が勝負です。 お昼を過ぎれば、近隣のタイムズなどは絶望的です。 午前中に駐車し、お祭り開始まで近くのカフェで時間を潰す。それくらいの気概が必要です。
【警告】国道122号の渋滞 当日は、会場周辺の国道122号(岩槻街道)が激しく渋滞します。 特に夕方以降は、車の列が全く動かなくなることもあります。 また、規制エリア周辺の路地は非常に狭く、迷い込むと抜け出せなくなります。 ナビが示す「裏道」は、この日ばかりは危険だと思ってください。 大通り(122号)から離れた場所に停めるのが、無事に帰宅するための鉄則です。
2025年の締めくくりは鳩ヶ谷で決まり!
日付:2025年12月21日(日) 場所:鳩ヶ谷総鎮守氷川神社(川口市鳩ヶ谷本町1-6-2)
冷え込みが厳しい夜になるかもしれません。 厚手のコート、マフラー、手袋。防寒対策は万全に。 露店から立ち上る湯気と、人々の熱気、そして歴史ある神社の荘厳な空気。 鳩ヶ谷おかめ市には、理屈抜きで心を高揚させる力があります。
新しい年を笑顔で迎えるために。 2025年の締めくくりは、鳩ヶ谷総鎮守氷川神社で「福」をたっぷりと掻き込みましょう!
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