圧倒的な輸出需要「ヤリス」の人気
今回、調査期間中の中古車オークションにおいて、もっとも取引が活発だった一台。それがトヨタのコンパクトカーの雄、「ヤリス」です。
特に令和4年式(2022年式)のXグレードに注目が集まりました。
衝撃的なのはその内訳です。
合計台数のうち、国内市場向けに落札されたのはわずか約7%。残りの約93%は、海外輸出向けとして取引されました。
日本国内で乗られていたヤリスが、ほぼそのまま海を渡っているという現状。なぜこれほどまでにヤリス、特に「Xグレード」が海外バイヤーから熱烈なラブコールを受けているのでしょうか。その背景と、現在の買取相場について解説します。
ヤリス(Xグレード)が選ばれる理由
なぜ、高年式のヤリスがこれほどまでに人気なのか。その理由は明確です。
- 「世界のトヨタ」ブランドへの絶大な信頼
故障が少なく、過酷な環境でも走り続ける耐久性は、海外、特にインフラが未発達な地域で神格化されています。 - 維持費の安さと燃費性能
1.0Lエンジン(1KR-FE)は、自動車税や関税が排気量で決まる国々において、非常に有利な設定です。 - TNGAプラットフォームによる基本性能の高さ
軽量かつ高剛性なボディは、欧州車にも引けを取らない走行安定性を実現しており、ドライバーを選ばず運転しやすい点が評価されています。 - 必要十分な装備内容
Xグレードはエントリーモデルに近い位置付けですが、「Toyota Safety Sense」などの先進安全装備が標準化されており、コストパフォーマンスが極めて高い点がプロのバイヤーに好まれます。
「9割が海を渡る」輸出需要の正体
今回のデータで判明した「輸出比率約93%」という数字。これは、日本の中古車市場がグローバルマーケットと直結していることを如実に物語っています。
具体的には、アフリカ諸国や南アジア、カリブ海諸国などが主な行き先として推測されます。これらの国々では、日本の道路事情(ストップ&ゴーが多い)で丁寧に扱われた低走行車は、「ほぼ新車」のような扱いを受けます。
特に令和4年式(2022年式)は、ちょうど新車購入から3年目の「初回車検」を迎えるタイミングです。日本のユーザーは車検を機に乗り換えることが多いため、状態の良い個体が市場に大量に供給されます。この「3年落ち」というタイミングは、輸入関税のルール上、最も関税が安くなる国も多く、バイヤーたちがこぞって入札に参加するのです。
ヴィッツから「ヤリス」へ
ここで、ヤリスという車の背景を少し振り返ってみましょう。
日本国内では長らく「ヴィッツ」の名で親しまれてきましたが、2020年2月のフルモデルチェンジを機に、世界統一名称である「ヤリス」へと車名を変更しました。これはトヨタが「WRC(世界ラリー選手権)」で勝つための車作りを市販車にフィードバックするという、強い意志の表れでもあります。
【基本スペック:ヤリス X(KSP210)】
- 全長×全幅×全高: 3940×1695×1500mm
- ホイールベース: 2550mm
- 車両重量: 940kg〜
- エンジン: 直列3気筒 1.0L(1KR-FE)
- トランスミッション: Super CVT-i
- 駆動方式: FF(前輪駆動)
- 燃費: 20.2km/L(WLTCモード)
特筆すべきは、その軽快なハンドリングです。コンパクトカー専用のTNGAプラットフォーム(GA-B)を採用したことで、重心が低く、思い通りに曲がる車に仕上がっています。Xグレードは1.0Lのガソリン車ですが、街乗りでは軽さを活かしたキビキビとした走りが楽しめます。また、最小回転半径が4.8mと非常に小回りが利くため、日本の狭い路地はもちろん、海外の混雑した都市部でも重宝されています。
今の相場動向と売却のポイント
今回の調査期間(2026年1月18日〜24日)のオークション会場の動きを見ていると、非常に活発な「競り」が行われていました。
特に、ボディカラーによる価格差があまり見られないのが輸出向け車両の特徴です。国内需要だけなら「白・黒」が高値になりがちですが、輸出需要がメインの場合、シルバーや赤、青といった有彩色でも、状態さえ良ければしっかりと値段がつきます。
また、評価点(車の状態を表すスコア)についても、多少の小傷がある「点数3.5〜4点」の車両でも、エンジンやミッションなどの機関系が正常であれば、高値で取引されています。これは、「傷は直せばいいが、エンジンは丈夫でないと困る」という海外の実需に基づいた評価基準が適用されているからです。
逆に言えば、内外装をピカピカに磨き上げるよりも、「定期的なオイル交換の記録」や「機関の調子の良さ」をアピールすることが、高価買取への近道と言えるでしょう。
売るなら「今」が好機
R4年式のヤリスにお乗りの方にとって、初回車検のタイミングである現在は、まさに「売り時」のピークと言えます。9割以上が輸出されるというデータが示す通り、あなたの車を欲しがっているのは、日本の近所の人ではなく、海の向こうの誰かかもしれません。
世界的なインフレや為替の影響もあり、日本の中古車は「安くて高品質」な商品として争奪戦になっています。この波に乗ることで、予想以上の買取額を手にすることも夢ではありません。
最後に、独自の調査と分析に基づいた、現在のリアルな買取相場を提示します。愛車の価値を知る一つの指標としてお役立てください。
買取相場推計:(60万円)~(105万円)
買取相場に関するご注意
この記事に記載されている買取相場は、特定のデータや市場動向に基づき算出されたあくまで参考値(推計)であり、その金額での買取を保証するものでは一切ありません。
実際の車両の買取価格は、以下のような多くの要因によって大きく変動します。
車両の状態: 走行距離、年式、ボディカラー、内外装の傷や汚れ、修復歴の有無
オプション・装備: メーカーオプション、ディーラーオプション、社外パーツの有無
市場の需要: 中古車市場における当該モデルの人気や在庫状況、季節的要因
査定業者: 買取業者ごとの査定基準や販売ルートの違い
正確な現在の買取価格をお知りになりたい場合は、この記事の情報を鵜呑みにせず、必ず複数の買取専門業者に直接ご相談の上、実車を査定してもらってください。

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