【要確認!】独立した息子が実家の軽で事故「保険が出ない」地獄の始まり

久々に実家に顔を出し、「ちょっとホームセンターで洗剤と棚を買ってくるわ」と、母親の軽自動車を借りて出かける。そんな日常のひとコマが、人生を狂わせる落とし穴になります。

もし、母親が年金暮らしの節約のために、自動車保険を「本人限定」や「配偶者限定」にしていたら。そして、別居して独立したあなたが事故を起こしてしまったら。

保険会社は無情に通告します。「息子さんは補償の範囲外です。保険金は1円も出ません」。

実家のクルマを借りた息子を待ち受ける、賠償金と行政処分の過酷な現実を解説します。

1. 補償は「完全ゼロ」 親孝行が親不孝に変わる瞬間

まず、クルマの損害(物損)について、母親の保険は一切使えません。

強制保険である「自賠責保険」は、あくまで「相手の身体」の補償のみです。相手のクルマ、壊したガードレール、そして借りた母親の軽自動車。これら「モノ」に対する補償は自賠責では対象外です。

頼みの綱である「任意保険」も、運転者限定特約(本人限定など)に違反していれば機能しません。

つまり、相手のクルマの修理費も、代車費用も、母親の軽自動車の修理費も、すべて「息子であるあなたの貯金」から即座に現金で支払う必要があります。

さらに恐ろしいのは、保険会社が「示談代行」をしてくれないことです。通常なら保険会社が盾になってくれますが、この場合、あなた自身が矢面に立ち、激怒する相手やプロの保険担当者と直接交渉しなければなりません。

2. 9対1でも90万円を即金払い

具体的な数字で見てみましょう。

ホームセンターへの道中、相手の乗用車と衝突。相手の修理費や代車費用などの損害総額が「100万円」だったとします。

過失割合は、あなたが9(90%)、相手が1(10%)です。

この場合、賠償額の計算は以下のようになります。

  • 相手の損害額: 100万円
  • あなたの負担額: 100万円 × 90% = 90万円

あなたは、この90万円を自腹で支払う法的義務(民法709条 不法行為責任)を負います。

「母さんの軽自動車もボコボコだ!」と主張しても、こちらの修理費が30万円だとしたら、相手が出してくれるのはその1割、たった3万円です。差し引きしても、あなたは87万円もの大金を即座に用意しなければなりません。払えなければ、あなたの給与や財産の差し押さえが待っています。

3. 「首が痛い」で地獄は加速する

事故直後は「ケガはない」と言っていた相手が、数日後に「首が痛い(むち打ち)」と診断書を出してくるケースは頻繁にあります。

ここで事態は「物損事故」から「人身事故」へ変わり、実家の親をも巻き込む大問題に発展します。

自賠責保険の限界

ケガに関しては「自賠責保険」が使えますが、限度額は傷害分で「120万円」までです。治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料すべて含んでの額です。

もし、相手が長期通院し、損害額が200万円になったらどうなるか。

あふれた80万円は、やはりあなたが自腹で払います。

母親も巻き込む「運行供用者責任」

さらに恐ろしい法律があります。「自動車損害賠償保障法」です。

人身事故の場合、運転者であるあなただけでなく、クルマの持ち主である「母親」も「運行供用者」として賠償責任を負います。

つまり、被害者は運転手のあなただけでなく、年金暮らしの母親にも損害賠償を請求できるのです。「ちょっと買い出しに」という気軽な気持ちが、母親の老後資金を食いつぶす最悪の結果を招きます。

4. 免許停止と前科のリスク

最後に、あなた自身の行政処分(免許の点数)と刑事処分(罰金・刑罰)についてです。

パターンA:物損事故のまま終わった場合

  • 点数・反則金: 原則として、単なる物損事故であれば点数の加算も反則金もありません。 ただし、事故原因として「安全運転義務違反」などが適用された場合に限り、「点数2点」と「反則金9,000円」が科される可能性があります。
  • 刑事処分: 原則としてありません。

パターンB:人身事故になった場合

相手が診断書を警察に提出した瞬間、扱いが一変します。

  • 点数: 事故の責任の重さとケガの程度に応じて、一気に点数が加算されます。
  • 例:9対1の責任で、相手が全治15日未満の軽傷でも、「安全運転義務違反(2点)」+「付加点数(3点)」=合計5点
  • 過去に行政処分歴がなくても、あと1点で免許停止です。相手のケガが重ければ、一発で免停、あるいは免許取消になります。
  • 刑事処分: 「過失運転致傷罪」に問われます。初犯や軽傷なら不起訴の可能性もありますが、略式起訴されれば、数十万円の「罰金刑」が科され、あなたは「前科持ち」になります。

まとめ

実家の軽自動車を借りる際、数百円の「1日自動車保険(ワンデー保険)」をケチった代償は以下の通りです。

  1. 相手への修理費(数十万〜数百万)の現金払い
  2. 母親をも巻き込む損害賠償請求(運行供用者責任)
  3. プロ相手に孤立無援の示談交渉
  4. 免許停止と前科のリスク

「実家のクルマだから保険に入っているだろう」という思い込みは捨ててください。親世代は保険料節約のために条件を限定していることが多々あります。ハンドルを握る前に、必ずコンビニやスマホで入れる1日保険に加入してください。

そして何より重要なのは、「日頃から家族で保険証券を確認し合うこと」です。

「誰が運転できるのか」「年齢条件はどうなっているか」「万が一の時の連絡先はどこか」。帰省した際や、電話で話すついでに確認してみてください。いざという時に自分と家族を守るため、日頃から補償内容を把握しておくことが、ドライバーとしての責任です。

※本記事に関するご注意

本記事は、一般的な保険の仕組みや法令に基づき、正確な情報の提供に努めて作成しておりますが、執筆者は保険の専門家(保険募集人資格者や弁護士等)ではありません。

保険契約ごとの細かな特約や、実際の事故状況による過失割合、賠償責任の範囲については、個別の事情により異なります。ご自身の加入状況や事故対応については、必ず保険会社や弁護士などの専門家にご相談ください。


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