冬に車の「A/C」ボタンをオフにしたまま放置すると、春先に数十万円の修理代が発生します。車のエアコン故障の多くは、この冬場の放置が原因です。
A/Cスイッチは冷房・除湿専用のボタンです
車の「A/C」はエアコン全体の電源ではありません。冷房と除湿を行う「コンプレッサー(圧縮機)」という部品を動かすための専用スイッチです。約98%のドライバーがこの事実を誤解しています。
車の暖房はエンジンの排熱を利用します。そのため暖房にコンプレッサーは不要です。しかし、冬にA/Cを全く使わないと、コンプレッサー内部のオイル循環が止まります。
潤滑油の枯渇でコンプレッサーが壊れます
長期間動かさないことで潤滑油が乾く現象を「オイルスターベーション(オイル枯渇)」と呼びます。春になり久しぶりにA/Cをオンにすると、油がない状態で金属同士が激しく擦れ合います。その結果、削り取られた金属片がシステム全体を詰まらせます。ある自動車ディーラーでは、3月から5月の春先に年間エアコン修理の6割が集中します。北海道や東北などの寒冷地では、故障率が全国平均の1.5倍に達します。
修理代は高額です。コンプレッサー交換だけで最低5万円(リビルト品で3万円)かかります。金属片がシステム全体に回ると15万円を超え、全系統のオーバーホールとなれば20万円から40万円に達します。輸入車では80万円を超えることもあります。
日本自動車整備振興会の調査によると、エアコン修理の依頼は年間約50万件です。そのうち40%にあたる20万件は、使用方法の誤解による防げたはずの故障です。平均修理費用6万2000円で計算すると、年間約120億円もの経済損失が発生しています。

エアコン使用による燃費悪化の具体額
燃費への影響も無視できません。日本自動車工業会のデータによると、エアコンの使用で燃費は10%以上悪化します。特に影響が大きいのが軽自動車です。
軽自動車のエンジン出力は約55馬力ですが、コンプレッサーを動かすために約5馬力が奪われます。全出力の約10%が消費される計算です。一方、120馬力の普通車なら影響は4%程度、180馬力のミニバンなら3%程度に留まります。
具体的な金額を計算します。年間1万キロ走行、燃費15km/L、ガソリン代170円/Lとします。エアコンを使用しない場合の年間ガソリン代は11万3000円です。これが10%悪化すると約12万5000円になります。年間で1万2000円、5年間で6万円の出費増です。なお、ハイブリッド車は電動コンプレッサーを使用するためエンジンへの負担が少なく、燃費悪化は25km/Lが23km/Lになる程度です。年間約4000円の負担増に収まります。
燃費を気にして窓を全開にして走る行為も効果がありません。イギリスの調査によると、時速80キロ以上では空気抵抗が増すため窓を全開にした方が燃費は悪化します。環境省のデータではエアコン使用時の燃費悪化は約12%であり、窓全開と大差はありません。
窓の曇り取りにはA/Cの除湿が必須です
窓の結露を取り除くためにはA/Cスイッチによる除湿機能が必須です。
A/Cスイッチは安全運転にも直結します。車内と外気の温度差によって窓ガラスは結露します。A/Cをオンにして除湿しなければ曇りは取れません。警察庁の統計では、視界不良による事故の約30%が窓の曇りに起因しています。冬場でも除湿のためにA/Cは必要です。設定温度は25度が最も効率的です。
故障を防ぐための具体的なメンテナンス手順
故障を防ぐための対策は明確です。月に1回、15分間だけA/Cをオンにしてコンプレッサーを回します。アイドリング状態で温度を25度に設定し、最初の5分間は慣らし運転を行います。これだけでオイルが循環し、春先の故障を防げます。
定期的なメンテナンスも重要です。エアコンフィルターは年に1回、または走行距離1万キロごとに交換します。費用は5000円程度(社外品なら3000円程度)です。フィルターが詰まると風量が落ち、コンプレッサーに負荷がかかるため、寿命が縮んで10万円以上の損失に繋がります。
異音が発生した場合はすぐに対処します。「キュルキュル」という音はベルトの劣化です。調整なら3000円、交換でも1万円程度です。「ガラガラ」という音はコンプレッサーの異常です。早期に内部洗浄を行えば2万円で済みます。「シューシュー」という音はガス漏れです。配管の亀裂であれば2万円程度の修理です。2年に1回、1万円程度のガスクリーニングを行うと、冷房効率が20%向上することもあります。
正しい知識と少額のメンテナンス費用で、車の寿命を延ばし、数十万円の無駄な出費を防ぐことができます。
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