年末のタイミング、中古車取引のトラブルに改めてご注意!

「車を売却したが、代金が振り込まれない」 「購入した車の納車が、何度も延期されている」

中古車の売買において、こうした相談が国民生活センターなどに多く寄せられています。 大切な財産を守るために、知っておくべき業界の「構造的なリスク」と、具体的な自衛策について解説します。

1. 「代金未払い」でも警察が動けない理由

車を引き渡したのに約束の日に入金がない場合、多くの方は警察に相談に行かれます。 しかし、警察ですぐに詐欺事件として扱ってもらえるケースは稀で、「民事不介入(みんじふかいにゅう)」として弁護士への相談を勧められることが一般的です。

なぜなら、「単なる借金(代金未払い)」と「詐欺(犯罪)」の境界線が非常に曖昧だからです。

詐欺罪として立証するには、相手が「最初から騙すつもりだった(最初から代金を支払う気がなかった)」ということを証明しなければなりません。 業者が「支払うつもりだったが、急に資金繰りが悪化して払えなくなった」と主張すれば、それは「商取引上の失敗(債務不履行)」とみなされ、民事トラブルとして扱われます。

結果として、裁判で勝訴しても、業者にお金がなければ回収できず、泣き寝入りになるリスクが高いのが現状です。

2. 車がないのに販売する「空売り」の手口

購入時のトラブルとして注意が必要なのが、「空売り(からうり)」と呼ばれる手口です。

これは、実際には店に在庫がない、あるいはまだ仕入れていない人気の車を、さも在庫があるかのようにインターネット上に掲載する手法です。 「問い合わせが殺到しているため、手付金を先に入金しないと売れてしまう」と急かし、現金を振り込ませようとします。

しかし、入金しても納車はされません。「整備に時間がかかっている」「部品が届かない」などと理由をつけて引き延ばされ、最悪の場合、連絡が取れなくなります。

対策: 実車(現物)と車検証をご自身の目で確認するまでは、手付金であっても支払ってはいけません。

3. 売却後の「減額請求」と保証サービスの落とし穴

「高価買取」を謳って車を買い取った後、引き渡し後に買取額の減額を求めてくる「二重査定(事後減額請求)」というトラブルも頻発しています。

車を引き渡して数日後に、「工場で点検したら修復歴(事故歴)が見つかった。契約を解除するか、減額に応じてほしい」と連絡が来るケースです。プロの業者が査定時に見抜けない瑕疵(欠陥)を、後から主張してくること自体が不自然であり、これは最初から減額ありきの悪質な手法である可能性があります。

また、こうしたトラブルを防ぐ名目で「クレームガード保証」(売却後の不具合に対する保証サービス)への加入を勧める業者もいます。 しかし、「売主が事故歴を隠していた場合は適用外」などの条件がつけられており、結局は保証が適用されずに減額を迫られるケースが報告されています。

4. 決算期と年末年始のリスク

特に注意が必要な時期があります。それは企業の決算期(3月、9月)と年末(12月)です。

自転車操業で資金繰りが苦しい業者は、決算や年越しの支払いに追われています。そのため、目先の現金を作るために、相場より高い金額で強引に契約を結ぼうとする傾向があります。 しかし、その車が転売されて現金化されても、元の持ち主であるあなたへの入金に使われる保証はありません。別の支払いに回され、支払日には業者が倒産しているという事態も起こり得ます。

「決算セール」や「高価買取キャンペーン」という言葉に惑わされず、慎重な判断が必要です。

現金と引き換えが確実な自衛策

中古車取引における詐欺やトラブルは、一度巻き込まれると立証が難しく、被害回復が困難です。

トラブルを避けるためのもっとも確実な方法は、以下の原則を徹底することです。

  • 購入時・売却時ともに、車(および書類)と現金の交換を同時に行うこと。
  • 振り込みの場合は、口座への着金を確実に確認してから、車と書類を引き渡すこと。

「後日振り込みます」「来週納車します」という口約束だけで、車やお金を先に渡してしまうのは避けてください。 少しでも不安を感じたら、その場での契約は断る勇気が、あなたの大切な財産を守ります。


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