「車を買い替えようと思ったら、値段が高すぎて驚いた」
そんな経験はありませんか。
その感覚、決して間違いではありません。
実は今、中古車の価格が6年間も上がり続けているのです。
2020年4月、コロナ禍の緊急事態宣言が出た時が底値でした。
それ以来、相場は右肩上がり。
特に2025年は、年明けから「異次元」と言われるほどの高値でスタートしました。
春から夏にかけて一瞬落ち着きましたが、秋以降、再び異常な過熱を見せています。
「古くなれば安くなる」という車の常識が、今、完全に崩壊しているのです。
なぜ高い?「新車不足」の深刻な現実
理由の第一は、国内の「タマ不足」です。
中古車は、誰かが新車を買って、今乗っている車を手放すことで市場に出回ります。
ところが今、その新車が売れていません。
2025年7月以降、新車の販売台数は前年割れが続いています。
【ここがポイント】
- 新車が売れない = 下取り車が出ない
- トランプ関税の影響 = 新車価格がさらに上がる予測
- 結果 = 中古車の取り合いになる
新車が入ってこないため、中古車市場への供給が細っています。
それなのに、欲しい人は減らない。
これが価格を押し上げる根本的な原因です。
日本車が消える?世界中で争奪戦
もう一つの、そしてより強力な原因が「海外への流出」です。
日本の中古車は、壊れにくく高品質だと世界中で大人気。
今、海外からの買い注文が殺到し、国内に出回るはずの車が次々と港へ運ばれています。
| 国・地域 | どんな状況? |
| スリランカ | 5年ぶりに輸入解禁。待ちわびた需要が爆発中。 |
| アフリカ・南米 | まさにバブル状態。あらゆる車が高値で取引されています。 |
| マレーシア | 新しい車や高級車の人気が沸騰しています。 |
川口市内の道路ですれ違うような普通の車が、海外では「お宝」として高値で取引されています。
私たちが「高いな」と迷っている間に、海外のバイヤーが即決で買っていくのです。
泥沼化する「放射線検査」の行方
ここで、あまり報道されない「業界の爆弾」についてお話しします。
輸出車に対する「放射線量検査」の問題です。
【用語解説:放射線量検査】
2011年の原発事故を受け、海外の安心のために始まった検査。基準を超えると輸出できません。
実はこの検査、2017年以来、基準値を超えた車は1台も出ていません。
「もう必要ないのでは?」という声が上がり、政府も廃止の方針を示しました。
しかし、現場の安心を求める港湾関係者との調整がつかず、検査だけがズルズルと続いています。
【検査をめぐってモメています】
- 2025年6月:東京電力が検査料の支払いをストップ。
- 現在:誰が検査代を払うかで、輸出業者と検査会社が対立。
- 今後:2026年3月まで検査延長が決定。
もしこの対立が激化して輸出が止まれば、行き場を失った車が国内に溢れ、相場が下がる可能性もあります。
しかし現状は、海外の需要があまりに強いため、多少のトラブルがあっても輸出は止まらず、相場は高止まりしたままです。
川口市の「街の車屋さん」が危ない
最後に、私たち地元の生活に関わるお話です。
この異常な相場の影で、中小規模の中古車販売店が苦境に立たされています。
倒産件数は、なんと年間1200件ペースと過去最多の勢いです。
理由はシンプル。「仕入れ値が高すぎて売れない」からです。
オークションで車を買おうとしても、輸出業者が高値でさらっていく。
無理して仕入れても、値段が高すぎて日本の一般客には売れない。
大手チェーン店は資金力で耐えていますが、街の小さな車屋さんは体力が持ちません。
買い時はいつ?
「もう少し待てば安くなる?」
残念ながら、その可能性は低そうです。
新車の供給不足と海外需要の強さを考えると、2025年後半も相場は過熱し続けるでしょう。
もし車検が近く、買い替えを検討しているなら、「今の相場が標準」と割り切る覚悟が必要かもしれません。
また、懇意にしている地元の整備工場や車屋さんがあるなら、早めに相談することをお勧めします。
厳しい状況でも、親身になって「長く乗れる一台」を探してくれるプロの存在は、これまで以上に貴重になるはずです。
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