埼玉県の交通が、いま、危険です。交通死亡事故が止まりません。
2025年11月5日から10日にかけての、わずか6日間。この間に6件もの交通死亡事故が発生し、6人の方が亡くなりました。
この異常事態を受け、埼玉県は11月13日に「交通死亡事故多発警報」を発令しました。警報は11月22日まで続きます。これは、2か月連続の発令という深刻な状況です。
6つの不幸な事故
まず、何が起きたのか。事実を見てください。
亡くなったのは、歩行者3人、自転車2人、そしてバイク1人です。すべて、ドライバーが守るべき「交通弱者」でした。
以下が、この6日間に発生した死亡事故の全詳細です。
- 1件目:11月5日(水) 午前5時45分
- 場所:日高市(国道)
- 事故:大貨車 × 歩行者(50代・男性)
- 2件目:11月5日(水) 午後5時41分
- 場所:和光市(県道)
- 事故:捜査中 × 自転車(50代・男性)
- 3件目:11月8日(土) 午前4時48分
- 場所:所沢市(県道)
- 事故:中貨車 × 二輪車(10代・男性)
- 4件目:11月8日(土) 午前5時42分
- 場所:鴻巣市(県道)
- 事故:普乗車 × 歩行者(90代・女性)
- 5件目:11月10日(月) 午前4時53分
- 場所:川口市(県道)
- 事故:普貨車 × 自転車(40代・男性)
- 6件目:11月10日(月) 午後5時08分
- 場所:滑川町(県道)
- 事故:普乗車 × 歩行者(70代・女性)
事故は「魔の時間」に起きた
なぜ事故は集中したのか。答えは「時間」にあります。
6件の事故は、すべて特定の「暗い時間」に発生しています。
- 日の出前(午前4時~5時台): 4件
- 日没後(午後5時台): 2件
特に危険なのが、日没後です。11月上旬の埼玉県の日の入りは、午後4時45分ごろです。事故が起きた午後5時過ぎは、「まだ少し明るい」時間ではありません。すでに「完全な夜」です。
警察庁は、日没前後の視界が急激に悪くなる時間帯を「薄暮(はくぼ)」と呼び、警告しています。ドライバーが「まだ見えるはず」と油断している間に、歩行者は暗闇に包まれています。この「認識のズレ」が悲劇を生みます。
あなたは「見えていない」
この「魔の時間」、あなたのライトは「ロービーム」になっていませんか。それが「見えない罠」です。
衝撃的な数字を見てください。
- 車が時速60kmで停止する距離: 約44メートル
- ロービームで照らせる距離: 約40メートル
もうお分かりですね。ロービームでは、前方に何かを見つけてからブレーキを踏んでも、止まれないのです。
さらに、歩行者の服装で状況は絶望的になります。ロービームで運転中、ドライバーが歩行者を発見できる距離は…
- 暗い服の歩行者: 約26メートル
- 明るい服の歩行者: 約38メートル
時速60km(停止に44m必要)の車が、暗い服の歩行者(26m先で発見)を見つけた瞬間。ドライバーがどんなに急ブレーキを踏んでも、衝突は絶対に避けられません。物理的に手遅れなのです。
今すぐハイビームを
どうすれば防げるか。答えは単純です。「ハイビーム」を使うことです。
多くの人が誤解していますが、夜間のライトは「ハイビーム」が基本です。ロービームは、対向車とすれ違う時だけ使う「すれ違い用」です。
- ロービーム(すれ違い用): 40メートルしか見えません。
- ハイビーム(走行用): 100メートル先まで見えます。
100メートル先が見えれば、44メートルで止まる車には、十分な安全マージンが生まれます。
「オートハイビーム」を確認
「対向車に迷惑かも」「切り替えが面倒」
そう思うかもしれません。しかし、最近の車には賢い機能がついています。
「オートハイビーム」です。
これは、フロントガラスのカメラが対向車や街灯を検知し、ハイビームとロービームを自動で切り替える機能です。
自分の車のライトスイッチを見てください。「AUTO」の表示があれば、その機能が使えます。この安全装置をONにしないのは、シートベルトを締めないのと同じくらい危険な行為です。
命を守る最後の砦
ドライバーへ。暗い道はハイビームが基本です。そして、路面にある「ひし形(ダイヤ)マーク」は、「この先に横断歩道あり」のサインです。マークを見たら、人がいるかもしれないと予測し、必ず減速してください。

歩行者・自転車の方へ。どうか「反射材」を身に着けてください。
データが「生と死」の差を示しています。
- 車の停止距離(時速60km): 44メートル
- 反射材をつけた歩行者: 57メートル 手前から見えます
反射材は、ドライバーが安全に停止できる距離(44m)よりも「13メートル」も手前で、あなたの存在を知らせる「命綱」です。
埼玉の悲劇は、ロービームの限界(38m)と停止距離(44m)の「見えない罠」が引き起こしました。ハイビーム(100m)と反射材(57m)で、この罠を打ち破りましょう。
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