2026年5月11日現在、トランプ米大統領の仲介による停戦協議は難航しており、中東・イラン情勢は未だ先行き不透明な状況が続いています。
ホルムズ海峡の安全な商業航行は完全に担保されておらず、ペルシャ湾内には9隻(4月下旬時点)もの日本の自動車専用運搬船(PCC)が足止めされたままです。PCCは1隻あたり数千台規模の輸送能力を持つため、9隻が停止しているだけで数万台分の物流機能が失われている計算になります。
さらに深刻なのは、攻撃による中東湾岸諸国のエネルギーインフラへの甚大なダメージです。完全復旧には数年単位の時間がかかるとも言われており、原油価格の高止まりが世界的な課題となっています。
「遠い中東の戦争なんて、自分には関係ない」と思われるかもしれません。しかし、この地政学的リスクは、私たちが日本で車を買ったり売ったりする際の「価格」や「納期」に、すでに直接的な影響を及ぼし始めています。今回は、最新の自動車業界の分析をもとに、今、一般ユーザーがどう動くべきかを徹底解説します。
1.新車・中古車への影響と注意すべき車種、EVの真実
【見えない「素材とオイル」の不足が直撃】
現在、半導体不足とは異なる新たな問題が自動車メーカーを襲っています。それは石油由来の「塗料」や「樹脂製品」の供給不安と価格高騰です。これにより、トヨタや日産、マツダ、スバルといった中東向け輸出が多いメーカーは生産調整を余儀なくされており、その波及効果として国内向け新車の納期も再び遅れ始める可能性が高まっています。
さらに注意すべきは「ディーゼル車」です。エンジンオイルの主成分(グループIIIベースオイル)はカタールなどからの輸入に依存しており、今回のインフラ攻撃で日本向けの供給がストップしています。
マツダのクリーンディーゼル車や、トヨタのランドクルーザープラドなどのディーゼルモデルに乗っている方は、整備工場でのオイル交換費用が高騰したり、最悪の場合「オイルがなくて整備できない」という「メンテナンス難民」になるリスクを抱えています。
【ガソリン高騰でEV(電気自動車)は買いか?】
中東情勢の悪化でガソリン価格の上昇が確実視される中、「これからはEV一択だ」と勧める声も一部にあります。しかし、安易なEVシフトには注意が必要です。
現在のレギュラーガソリンの全国平均は1リットルあたり169.7円(4月27日時点)ですが、これは政府が約40円の補助金を投入して抑えている価格です。補助なしの実勢価格は約205円に達しており、補助が縮小・廃止されれば家計への打撃は大きくなります。
しかし、だからといってEVへの即時乗り換えが正解とは言えません。なぜなら、EVの製造にも大量の石油由来の樹脂パーツや塗料が使われており、車両本体価格の高騰や納期の遅れはガソリン車と同様に免れないからです。さらに、日本の電力の多くは火力発電(化石燃料)に依存しているため、原油や天然ガスが高騰すれば家庭の電気代や充電コストも上昇します。「ガソリン代は浮いたが電気代で相殺された」という事態になりかねず、今すぐのEV購入は慎重に検討すべきです。
2.中古車売買の最強タイミングと注目車種
では、今のマーケット状況を個人の車選びにどう活かせばいいのでしょうか?結論から言うと、明確な「買い時」と「売り時」が存在します。
【買うなら「今すぐ」!迫り来る暴騰リスク】
もし中古車の購入を検討しているなら、「短期(今)」がベストタイミングです。現在は相場が高値圏ではあるものの、比較的安定しています。しかし、今後「新車の納期遅れによる下取り車の減少(国内供給の先細り)」が顕在化します。需要があるのに玉数(在庫台数)がない状態に陥るため、少し先送りするだけで希望の車が予算内で買えなくなる「相場の暴騰リスク」が極めて高い状態、いわば「嵐の前の静けさ」なのです。
【売るなら「少し待つ」!輸出業者の爆買いを狙う】
逆に、愛車の売却を急いでいないのであれば、「中期(数ヶ月後〜)」が売り時になる可能性が高いです。現在、日本の中古車輸出の最大拠点であるUAE向けの輸送が止まっています。しかしこれは需要が消えたわけではありません。停戦合意が成立しても、ホルムズ海峡の商業通航が正常化するまでにはさらに時間がかかる見通しですが、いったん流通が回り始めれば、UAEで枯渇した在庫を補充するために強烈な「中古車の買い集め(輸出の吸い上げ圧力)」が起こります。このタイミングで売却すれば、通常では考えられない高値がつく可能性があります。
【注目は「HV」と「1900cc以上のSUV」】
今後の中古車選び、および高値売却のターゲットとして最も注目すべきはハイブリッド車(HV)と1900cc超のSUVです。これらは現在ロシア向けなどの代替ルート(ジョージア・キプロス経由)で活発に輸出されており、海外需要が極めて強いため値落ちしません。また、日本国内で乗るにしても、今後確実視されるガソリン価格の高止まりに対抗できるHVは、最も現実的で賢い選択肢と言えます。
一方で、中東の富裕層需要が支えていた欧州系の高級中古車は、エネルギーインフラへの打撃により現地の需要回復が見込めず、相場が下落する可能性があります。こうした銘柄は購入の優先度を下げるのが賢明です。
3.【川口市周辺ユーザー限定】知っておきたい地域特化情報
川口市周辺は、全国でも有数の中古車輸出業者やヤード(車両保管場所)が密集しているエリアです。パキスタン系やアフリカ系など、多国籍なバイヤーが日々買い付けを行っています。現在、UAE経由のルートは止まっていますが、彼らは独自のアフリカ向け「直輸出ルート」などに素早く切り替えてビジネスを継続しています。
つまり、川口市のユーザーが車を売る場合、一般的なディーラーの下取りに出すのは非常にもったいないと言えます。地元にある「輸出に強い買取専門店」や「外国人バイヤーが関わる買取業者」を複数回って相見積もりをとることで、中間の流通マージンをカットした「直接の海外相場価格」で買い取ってもらえるチャンスが全国のどこよりも高いのです。特にHVやSUVを手放す際は、必ず地元の輸出系業者を巻き込んで査定額を競わせてください。
また、川口市内の民間車検場や整備工場でも、先述した「ディーゼル車用エンジンオイルの不足」が今後水面下で深刻化するはずです。ディーゼル車にお乗りの方は、オイル交換の時期が近づいてから動くのではなく、かかりつけの整備工場に「オイルの在庫は確保できているか」を今のうちに確認し、早めに予約を入れておくことを強くお勧めします。
激動の世界情勢は、私たちの足元の生活にも波及しています。最新の市場動向を把握し、賢いカーライフを送りましょう。
