「止まれ」は、止まるだけでは違反です
「一時停止」の標識。これは日本で最も誤解されているルールの一つです。
筆者も誤解というか、つい慣れでそうしてしまいますが、多くのドライバーが「タイヤが止まれば良い」と思っています。これは大きな間違いです。
道路交通法第43条が命じているのは「二重の義務」です。
- 停止線で「完全に停止する」義務。
- 交差する道路の「安全を確認し、進行を妨害しない」義務。
この2つを両方実行して、初めて「一時停止」が完了します。
タイヤが転がったまま通過する「ローリングストップ」は、もちろん違反です。
では、停止線で1秒だけ止まった場合はどうでしょう?
これも「安全確認の義務」を果たしていない、と判断される可能性が極めて高いです。
教習所で「3秒停止」と習うのは、法律に秒数規定があるからではありません。
左右と前方の安全確認を物理的に行うために、最低3秒程度は必要だ、という合理的な目安です。
万が一、事故になった場合、「止まった」と主張しても、安全確認を怠っていれば「一時停止後進入」として重い責任を問われます。止まることは「目的」ではなく、安全確認のための「手段」なのです。
違反は「指定場所一時不停止等違反」となり、違反点数は2点、反則金は普通車で7,000円です。
半分が守らない。横断歩道の停止義務
横断歩道は「歩行者優先」です(道路交通法第38条)。
しかし、JAF(日本自動車連盟)の2024年の調査によれば、信号のない横断歩道で歩行者がいても車が止まる割合は、全国平均でわずか53.0%でした。
裏を返せば、ドライバーの約半数(47%)が法律違反を犯しているのが日本の現実です。
ちなみに停止率が最も低い県は富山県(31.6%)、最も高い県は長野県(87.0%)で、地域によって大きな差があります。
罰則は「横断歩行者等妨害等違反」として違反点数2点、普通車で9,000円の反則金です。さらに悪質な場合は、3月以下の懲役または5万円以下の罰金という刑事罰の対象にもなります。
「歩行者が渡るか分からないから行っちまえ」は通用しません。歩行者がいれば、止まるのが運転者の絶対的な義務です。
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