埼玉県川口市で、ものづくりの魂と未来への活気が交差する一大イベント「川口市市産品フェア2025」が開催されます。期間は2025年10月24日(金)から26日(日)までの3日間。会場は川口オートレース場です。11回目を迎える今回は、過去最多となる165の企業や団体が出展し、川口の持つ多様な産業の力を示します。入場は無料です。
このフェアは、単なる製品の展示会ではありません。出展企業にとっては販路拡大の絶好の機会であり、市民にとっては地元の魅力を再発見する場です。そして、未来を担う学生たちにとっては、地域産業の最前線に触れ、自らのキャリアを考える貴重なきっかけとなります。
熱気あふれる3日間、ビジネスと出会いの場
今回のフェアは、企業間の連携を深めるための新たな試みが注目されます。初めて「企業交流会」が企画され、出展者同士が新たなビジネスチャンスを生み出すためのネットワーキングの場が提供されます。会場には中小企業基盤整備機構や地域の金融機関による経営相談窓口も設置され、販路拡大から資金調達まで、企業が抱える具体的な課題に専門家が応えます。
また、自社の技術や製品を存分にアピールできる「特設プロモーションステージ」も用意されています。静的なブース展示だけでは伝わらない製品の魅力を、多くの来場者の前でダイナミックにプレゼンテーションできます。
さらに、次世代の担い手を育むための取り組みも充実しています。多くの出展企業が「学生歓迎企業」としてブースを構え、インターンシップや将来の就職を見据えた学生との交流を積極的に行います 3。これは、地域産業の未来を支える人材を確保するための戦略的な取り組みです。
伝統と革新、川口の技術力が光る
フェアには、川口市の多様な産業を代表する企業が集結します。その中から2社を紹介します。
まず、1925年創業の株式会社小貫金網製作所です。100年近い歴史で培った伝統技術と最新技術を融合させています。同社の強みは、「金網加工」「レーザー加工」「精密板金」という三つの異なる技術を社内で一貫して行える点にあります。職人の手作業と高精度なレーザー加工を組み合わせることで、大手食品メーカーや半導体装置向けの複雑なフィルターなど、高付加価値な製品を生み出しています。
次に、建設業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するクェスタ株式会社です。同社は、建設現場の安全意識向上や業務効率化に貢献するタッチパネル式デジタルサイネージ「ご安全にモニター」などを開発しています。この技術は国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」にも登録されており、高い信頼を得ています。川口市に数多く存在する建設関連企業にとって、まさに地元の技術が現場の課題を解決する好例です。
ベーゴマの灯を消すな!復活の物語
川口市は「ベーゴマの町」としても知られています。かつて鋳物工場で、製品を作った際に余った鉄から作られたのがベーゴマの始まりでした。しかし、時代の変化とともに鋳物工場は減少し、ベーゴマの製造も途絶える危機に瀕しました。
現在、日本で唯一ベーゴマを製造しているのが、市内の株式会社日三鋳造所です。同社も1998年、周辺の宅地化に伴う住民への配慮から工場を閉鎖し、一度は製造を中止しました 15。しかし、製造中止を知った全国のファンから「やめないでほしい」という声が殺到。中には「ぼくのおこづかいで続けてください」と百円玉を貼った小学生からの手紙もありました。この熱意に心を動かされた同社は、他の鋳物工場に製造を委託するという形で、2000年にベーゴマの販売を再開させたのです。
フェア最終日の26日には、この物語を象徴する「ベーゴマ大会(まご兵衛杯)」が開催され、先着300人が熱戦を繰り広げます。
家族で楽しむ、ものづくりとグルメ
フェアはビジネス関係者だけでなく、家族連れも一日中楽しめるイベントが満載です。「技能フェスタ」では、ものづくり体験教室が開かれ、子どもたちが職人の技に直接触れることができます 1。会場にはキッチンカーが並び、美味しいグルメに舌鼓を打つこともできます。さらに、植物の販売やオート模擬レースなど、多彩なアトラクションが来場者を待っています。
会場へのアクセスと注意点
会場の川口オートレース場へは、公共交通機関の利用が便利です。期間中はJR川口駅(西口)、JR西川口駅(東口)、埼玉高速鉄道(SR)鳩ヶ谷駅(西口)から無料の直行バスが運行されます。
車で来場する場合、首都高速川口線の「加賀IC」から約15分です。会場には無料駐車場が用意されていますが、台数には限りがあります。特に週末は大変な混雑が予想され、早い時間に満車になる可能性があります。
車で来場する際の注意点
- 駐車場が満車の場合、駐車待ちはできません。近隣のコインパーキングを利用してください。
- 駐車待ちによる公道での渋滞発生を防ぐため、ご協力をお願いします。
- 近隣の商業施設や住宅街への迷惑駐車は絶対におやめください。
- 確実な駐車を希望する場合は、周辺の予約制駐車場の利用も検討できます。
- 主催者は、できる限り公共交通機関および無料直行バスを利用するよう呼びかけています。





