8年ぶりの全面刷新、EVの常識を覆す一台
日産が2025年10月8日、新型「リーフ」を正式に発表しました。電気自動車(EV)の時代を切り開いた先駆者が、8年ぶりに全く新しい姿で登場です。予約注文は10月17日から始まります。
開発を担当した遠藤慶至氏は「常識を覆す新時代のクロスオーバーEV」がコンセプトだと語ります。ガソリン車からの乗り換えを強く意識し、多くの新技術を投入しました。
まず高性能な78kWhバッテリーを積む「B7」グレードから発売し、2026年2月には価格を抑えた55kWhバッテリーの「B5」グレードも発表される予定です。
人気のSUVスタイルへ、実用性も大幅向上
最も大きな変化は、その姿です。これまでの背の低いハッチバックから、今人気のSUVのような「クロスオーバー」スタイルに大変身しました。
これは見た目だけでなく、性能を追求した結果です。開発担当の磯部博樹氏によると「空力性能を突き詰めたら、自然とこの形になった」とのこと。空気抵抗を減らすため、ドアノブは走行中にボディに格納され、床下も完全に平らに設計。その結果、空気抵抗係数(Cd値)は0.26というトップクラスの数値を達成しました。
ボディサイズは先代より120mm短い全長4360mm、逆に全幅は20mm広い1810mmとなりました。短くなったことで小回りが利き、都市部での運転がさらに楽になります。全高は日本の多くの立体駐車場に収まる1550mmに抑えられており、日常での使い勝手も万全です。
航続距離702km!もう充電の心配はいらない
新型リーフの心臓部も驚くほど進化しました。最大の注目は航続距離。一回のフル充電で、なんと最大702kmも走れます。これは東京から岡山県のあたりまで、一度も充電せずに走れる計算です。長距離ドライブでの充電の不安は、これでほぼ解消されました。
この長距離走行を支えるのが、新開発の「水冷式」バッテリー温調システムです。従来の空冷式と違い、バッテリーを効率的に冷やしたり温めたりできるため、真夏の急速充電や真冬の性能低下に強くなりました。
モーター、インバーターなどを一体化した新しいパワートレインは、最高出力218馬力を発生。EVならではの静かで力強い加速を存分に味わえます。充電性能も大きく向上し、150kWの急速充電に対応。わずか30分で約470km走行分の電力を蓄えられます。
スマホのように使える、未来的な運転席
運転席に座ると、未来的な空間が広がります。水平基調のすっきりとしたダッシュボードには、12.3インチの大きなデジタル画面が2枚並びます。速度などを表示するメーターと、ナビや音楽を操作するディスプレイです。
このシステムには「Google」が標準で搭載されています。これにより、スマートフォンのように「OK、Google」と話しかけるだけで目的地設定などが可能に。普段から使い慣れたGoogleマップがそのまま車で使えるのも、非常に便利な点です。
上級グレードの「B7 G」では、高級オーディオのBOSEサウンドシステムや、夜間に立体的に光る3Dホログラムテールランプも装備され、所有する満足感を高めてくれます。
気になる価格は?補助金で実質430万円から
気になる価格は、78kWhのバッテリーを積む「B7 X」グレードで518万8700円からです。
しかし、EVの購入には国からの補助金(CEV補助金)が利用できます。2025年度の制度に基づくと、新型リーフは非常に高い性能を持つため、約89万円の補助金が見込まれます。これを適用した場合、実質的な負担額は約430万円からとなります。
さらに来年2月に発表予定の「B5」グレードは、補助金込みで実質350万円程度を目指しており、EVがより多くの人にとって身近な存在になりそうです。
3代目で大ジャンプ、リーフの進化の歴史
リーフの歴史は、EVの進化の歴史そのものです。2010年に登場した初代は、航続距離200kmからのスタートでした。2017年の2代目は400kmへと着実に進化。そして今回の3代目は、一気に702kmへと大ジャンプを遂げました。わずか15年で航続距離は3.5倍以上に伸びたことになります。
デザインも、初代の個性的な姿から2代目の万人向けスタイルへ、そして3代目は時代のニーズに応えたクロスオーバースタイルへと変化。まさにEVの王者が、時代と共に進化し続けている証です。
EV本格普及へ、日産の「回答」
新型リーフは、これまで指摘されてきた航続距離の不安、デザインの好み、バッテリー性能といった課題をすべて解決してきました。その実力は、もはや他のEVだけでなく、人気のガソリンSUVとも十分に戦えるレベルにあります。EVの先駆者である日産が、EV本格普及時代に向けて放った、渾身の「回答」と言えるでしょう。





